伝統様式の中の新しいデザイン
クラシックという言葉自体は美しさの基準となる言葉で、洗練された幾何学的調和で構成され、恒久的な美しさを持っているという意味があります。建築様式にとってクラシックは、遺産であり継承する価値がある文化として理解され、採用されてきました。今日においても、クラシックは計り知れない価値ある遺産であることは言うまでもなく、単純な要素で構成されているデザインほど、長く受け継がれていくものであります。
例えば伝統様式の中に採用されているモンティセロのドーリス式の柱やペディメントのあるポルティコは、今日の住宅に用いられても不自然さはなく、時間の流れを感じさせないくらい自然です。本格的で新しいスタイル(様式)の住宅を創造するには、建築の歴史を再度解釈し直して、形式的で洗練されながらも親しみのある住みよい住宅としてデザインするとともに、その住宅が資産として受け継がれていくように心掛けたいものです。
ファームスタイルの住宅のキッチンをダイニングルームとリビングルームの間に設たり、アーチ上の要石と隅石を用いる様式には、タイル張りのホワイエとヨーロッパ調のデザインがよく似合います。本物のクラシックとは、過去の優れたデザインを保ちつつ、新たに新鮮な思調や流行のデザインに対して、決して色褪せることなく、賞賛に値する物として創造し付加していくことです。

アメリカでは希少価値となった歴史上の固有の建築部分のデザインを採用し、それをその土地特有のクラシック様式と定義付けています。たとえばクイーンアン様式の優雅なディティールや、尊敬されているライトの衰えを知らない純粋で有機的な建築デザインが、各地でクラシックとして甦っています。
住宅をデザインする際には、地方色の濃いデザイン、一般的なデザイン、流行を採り入れはするが、奇抜さはなく自然なデザインのものとして、見た目だけで選ぶのではなく自分自身が感じたとおりにデザインされ、これまでのものより優れたものとしてつくられていくことが重要なのではないでしょうか。
性能面で優れた住宅でも造形的に美しくないものは、誰も使いたくなく見捨てられて取り壊されるか、放置されて朽ち果てていきます。住宅の美しさは、建物の新旧とは関係のないものです。日本の宇治平等院や桂離宮、近代文学館など法定年数の何倍もの年月を経過した住宅が現代の人たちを魅了し続けているのが、この事を証明しています。

投稿日 : 2008/02/24
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